必要証拠金が減っても、口座の余力が増えるとは限らない
CFDの必要証拠金は、建てた時の金額で固定されるとは限りません。価格、保有数量、証拠金率、円換算レートの変化で必要額が変わります。一方、口座の有効証拠金は評価損益などで動くため、必要額の変化と、損失に耐えられる余力の変化は分けて確認します。

必要額を変える4つの要因
| 要因 | どう変わるか | 確認するもの |
|---|---|---|
| 価格 | 時価から計算する商品では、同じ数量でも必要額が増減する | 計算に使う価格・更新時点 |
| 数量・数量帯 | 建玉を追加すると必要額が増える。段階制では増加分の率も変わり得る | 取引単位・数量帯・合算範囲 |
| 証拠金率 | 価格が同じでも、率の引上げで必要額が増える | 変更後の率・適用日時・対象建玉 |
| 為替 | 外貨額を円換算する方式では、換算レートでも必要額が変わる | 換算通貨・レート・口座通貨 |
基本形は「CFD価格 × 数量 × 取引単位 × 証拠金率」、必要なら外貨から円への換算を加えます。ただし、固定額方式、数量帯、両建て時の扱いなどがあるため、契約する会社・銘柄の計算方式を先に確認してください。
例えば、外貨建て取引額が1万米ドル、仮の証拠金率が20%なら、必要額は2,000米ドルです。円換算が1米ドル150円なら30万円、165円なら33万円。これは必要額だけの比較で、為替によって評価損益や外貨資産の円評価も動き得るため、口座全体の余力が3万円だけ減るという意味ではありません。
価格下落と率引上げが重なったら
実在の銘柄・料金ではない架空例です。円建てCFDを取引額100万円で買い、当初の有効証拠金を30万円とします。必要証拠金は各時点の取引額に仮の率を掛け、有効証拠金は30万円に評価損益だけを加減するモデルです。他の建玉・注文、入出金、スプレッド・手数料・金利・調整額・為替は除きます。各行は当初からの別々の想定で、売買の経過ではありません。
| 当初からの想定 | 有効額/必要額 | 維持型/使用型 |
|---|---|---|
| 価格変化なし・率10% | 30万円/10万円 | 300%/33.3% |
| 価格変化なし・率20% | 30万円/20万円 | 150%/66.7% |
| 価格10%下落・率20% | 20万円/18万円 | 111.1%/90% |
| 価格15%下落・率20% | 15万円/17万円 | 88.2%/113.3% |
10%下落の行では、評価損が10万円、取引額が90万円、必要額が90万円×20%=18万円です。15%下落では必要額が17万円まで減りますが、有効額も15万円へ減るため、維持型の比率はさらに悪化します。「必要証拠金が減ったから余裕がある」とは判断できません。
表の維持型は「有効額÷必要額×100」、使用型は「必要額÷有効額×100」の仮の指標です。同じ正の金額同士を使う場合に限り、片方が上がればもう片方は下がります。実際には新規用・維持用の証拠金や算入資産が違う場合があり、各社の画面表示が常に逆数になるわけではありません。具体的な式の確認は証拠金維持率の読み方も参照してください。
維持型100%以下などでロスカットを判定する契約なら、15%下落の状態より前に決済される可能性があります。表は保有を続けられる範囲や安全水準を示していません。判定間隔、取引時間、配信レート、約定状況によって結果が変わり、損失が入金額を超えることもあります。
段階制は「全額に高い率」か「超過分だけ」かを確認
サクソバンク証券の公式計算例では、個人口座のリスクレート1の個別株・ETF CFDについて、一定額を超えた部分に次の率を適用しています。数量帯の判定は米ドル換算です。全商品の共通条件ではなく、個人・法人、銘柄のリスク区分によって率や数量帯が異なります。
仕組みだけを小さい数字で試すと、仮に最初の100万円分が20%、超過した50万円分が40%なら、必要額は「100万円×20%+50万円×40%=40万円」。取引額は100万円から150万円へ1.5倍でも、必要額は20万円から40万円へ2倍になります。ここで使った100万円の境界は説明用で、同社の実際の数量帯や提供条件ではありません。
建玉を増やす前に、追加後の合計額で注文画面を確認します。保有分すべてを高い率で計算するのか、超過部分だけに適用するのかを取り違えると、追加資金の見積りがずれます。
会社ごとに、判定に使う金額と比率を読む
| 確認した対象 | 公式説明の要点 | 口座で確認する点 |
|---|---|---|
| トライオートCFD 株価指数 | 有効比率=有効証拠金額÷必要証拠金額×100。100%以下でロスカット判定 | 一定時間ごとの判定と、有効なレート・取引時間の制約 |
| サクソバンク証券 CFD | 証拠金使用率が100%に達すると自動ロスカット。法人には申請による特別ルールあり | 口座区分と銘柄の率・数量帯。FXの別ルールと混同しない |
| Plus500JP証券 CFD | 有効証拠金額が維持証拠金額以下になると、一部または全部の成行決済注文を発注 | 銘柄・口座種別の率と、維持証拠金の金額 |
上の要点は2026年10月8日に確認した日本向けの説明です。比率の名前やアラート水準だけを他社に当てはめず、契約中の取引説明書と口座画面の定義を優先してください。ロスカットは損失額や約定価格を保証する仕組みではありません。
証拠金の変更に備える5つの確認手順
- 対象口座と計算の基準をそろえる。銘柄・売買方向・数量・取引単位・口座通貨を控え、現在の有効額、必要額、未約定注文による拘束を確認します。
- 適用日時と対象を読む。変更前後の率、数量帯、既存建玉にも適用するかを公式通知と取引条件で確認。サクソは市場状況により直前・予告なしの変更もあると説明しているため、メール到着だけを待つ前提にはしません。
- 複数の変化を同時に試す。不利な価格変動に率引上げや為替変化が重なった場合を、契約中の式で再計算します。相関する複数銘柄があるなら合計で確認し、特定の維持率を安全と決めつけません。
- 取れる対応と所要時間を比較する。新規注文を増やさない、注文を取り消す、建玉を減らす、用意できる資金を追加するなどを検討。入金・口座振替の反映待ち、休場中の決済制限も確認し、生活資金まで投入する前提にしません。
- 対応後の画面を再確認する。入金受付だけで完了とせず、口座への反映、残った建玉・注文、必要額と比率を確認します。注文が通らない場合はCFD注文ができないときの確認手順で受付条件と履歴を切り分けます。